mixi利用規約第18条の件

mixi”は、参加者数が2008年1月30日現在で1331万人と1300万を突破した国内最大手のSNSサービスです。メールに似た会員間のメッセージシステムや、Niftyのフォーラムに似たコミュニティBBS機能、日記・写真・動画の投稿サービスなどがあります。
4/1から変更になるmixiの改訂会員規約18条が問題になっています。

第18条 日記等の情報の使用許諾等
1 本サービスを利用してユーザーが日記等の情報を投稿する場合には、ユーザーは弊社に対して、当該日記等の情報を日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、翻訳、改変等を行うこと)を許諾するものとします。
2 ユーザーは、弊社に対して著作者人格権を行使しないものとします。

http://mixi.jp/rules_sample.pl

新しい規約では、“著作者人格権を行使しないもの”とする特約が盛り込まれています。
著作者人格権は以下の3つの権利からなるそうです。

  • 公表権 −−−−− 公表/非公表を決める権利
  • 氏名表示権 −−− 本名、筆名等を表示する権利
  • 同一性保持権 −− 勝手に改変させない権利

著作者人格権Wikipediaによると、「ベルヌ条約上、著作者人格権は財産権としての著作権(狭義の著作権)が他者に移転された後も著作者が保有する権利」とされており、他人に譲渡できない権利です。ですが、この権利を行使しない契約は有効であるとする説が有力です(っていうか、無効だと言ってる法律家は皆無)。
ですから、改訂18条が発効すると、利用者は著作者人格権を行使できなくなってしまいます。
例えば、公開範囲を友人のみに指定してこっそり書いている日記や写真がmixiの手によって公表されてしまうかもしれません。もし本の形で出版されたとしても「それは私の文章だ!」と言うことも出来なくなります*1

ITMedia誌が報じるところによると、改訂規約18条の著作人格権不行使特約の目的は

(1)投稿された日記データなどをサーバに格納する際、データ形式や容量が改変される(ユーザーの著作者人格権《同一性保持権》を侵害する)可能性がある
(2)アクセス数が多い日記などは、データを複製して複数のサーバに格納する(ユーザーの複製権を侵害する)可能性がある
(3)日記などが他ユーザーに閲覧される場合、データが他ユーザーに送信される(ユーザーの公衆送信権を侵害する)可能性がある

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/05/news082.html

といった、mixiサーバー内部でのデータの取り扱いに関して著作人格権上の問題が出る恐れを予め回避するためのもののようです。しかし、著作人格権を行使しないと言うことになりますと、例に挙げた範囲を遙かに超える権利を、mixiが持ってしまうことになります。
コレはあんまりだと言うことで意見が多数寄せられているみたいで、結局この文面は改訂になる旨告知が出ました。

mixi利用規約第18条の条文修正に関するお知らせ 2008.03.05
http://mixi.jp/release_info.pl

mixi運営事務局です。

利用規約の改定に関して引き続き検討をおこない、以下の件につきまして対応を進めさせていただくこととなりましたのでお知らせいたします。

mixi利用規約第18条の条文修正
 −ユーザーのみなさまに著作権があることの明記などについて検討しております。
・Q&Aの作成、公開
 −寄せられたお問い合わせ、用語などについてのQ&Aを検討中です。

早急に対応を進めてさせていただき、進捗につきましては本ページにて随時お知らせいたします。

以上、どうぞよろしくお願いいたします。

http://mixi.jp/release_info.pl

それならそうと最初からはっきり言えばいいのに。
誤解のない文面にして欲しいものです。

*1:いや、さすがに言うのは(言うだけなら)勝手だろうけど、著作物に名前を表示させることは出来なくなると思う