回転寿司

 帰り道、回転寿司に行った。
 店の前から中を覗くと、雨のせいか、すいているようだった。
 店内にはいると、客が誰もいなかった。カウンター15席、テーブル30席、客ゼロ。ガラガラである。誰もいない店内で、コンベアーにまばらに載った皿が空しくゴトゴトと回っていた。カウンター各席には、逆さまの湯飲みと割り箸がきれいに並べてあった。店の人がすぐ出てきて、奥へどうぞ、と案内された。どうぞ注文してくださいというので、何皿か注文してみた。厨房には店員さん一人しかいなかった。回っている皿を取ってみると、何故かご飯が温かかった。いつ握ったんだろう。よくみるとネタは新しそうだ。
 その後店を出るまで、客は一人も来なかった。こんな状態でコンベアが回っている意味はあるのだろうか。回す意味無いんじゃないかと思ったが、回さないのは回転寿司屋の矜持が許さないのだろう。あとで近所の人に聞いたところ、雨だからというのではなく、元々客が入ってない店らしい。会計の時 店員さんの名札を見ると、名前の上に小さく「店長」と書いてあった。
 会計を済ませて店を出るとまだ雨が降っていた。