「欠陥」住宅は、なぜつくられるのか

『「欠陥」住宅は、なぜつくられるのか』河合敏男著
欠陥住宅問題に詳しい弁護士が書いた本。

内容;

  • 伝統的な日本の木造建築は、地域の大工が地域社会で仕事を行っていたため手抜き工事等をすればば仕事ができなくなった。また、地域住民が棟上げなどを手伝うなど建築知識もあったため施工上のごまかしが行われることはほとんど無かった。
  • 現在ではハウスメーカーが一方的に消費者に供給する。消費者がチェックできる所は少ない。
  • 「設計」「施工」「管理」がお互いをチェックしあって間違いをなくすことが期待されているが、三者は癒着しているためごまかしが発生する。
  • 改善には利害関係の排除、建築士の倫理観の回復、(欠陥発覚時の)保険制度の導入など制度改革が必要。
  • ちなみに、阪神淡路大震災の死者の8割は建物倒壊による圧死。

なんというか、もうだめだめです。悪いものが淘汰される仕組みがないみたいです。経済性を優先する余り手抜きが行われるというのは現場も大変なんだなと言う気がしますが、下請けに丸投げとか名義貸しとか品質にかかわる重大事が横行してることとか品質確保のための制度を守らせる仕組みがないとか良くわかりました。
個人的には建築士と施工者の癒着に関するくだりで、

「配筋検査」(鉄筋コンクリート造の重要な管理項目)の当日に管理者をゴルフなどに接待してしまえば、配筋不良が見つかることはありません。(中略)現場を見たことにして、施工は適正であった旨のいい加減な報告書を作成し、建築主に報告するのです。
(本書・29ページより引用)

という話が印象的でした。
著者曰く、計画から完成引き渡しに至るまで家づくりのために注意すべきいろいろな点を網羅的に開設した『家づくり安心ガイド』を参考にせよとのこと。

家づくり安心ガイド

家づくり安心ガイド

これも読んでみよう。