読んだ本の感想

昨日実家へ帰る電車の中で『デフレはなぜ怖いのか (文春新書)』を読み終えた。

デフレはなぜ怖いのか (文春新書)

デフレはなぜ怖いのか (文春新書)

前半部分の経済学によるデフレの問題点の説明は、わかりづらい。グラフが多用されているのだが、グラフに凡例が無いためグラフの意味がわからなかったり、図中に未定義の変数が書かれているのに本文中にその数値への言及がないため意味がわからなかったりする。あたかも知識のある人の独り言のようだ。
しかし、この本の主張は中盤以降に鮮明になる。主張を要約すると、

  • デフレは物価を引き下げるだけでなく、生産と雇用を停滞させる。
  • デフレは金融政策によって生まれた。
  • ただちに紙幣を印刷すれば、景気はすぐさま回復する(デフレを終わらせるために必要なのは、お札を刷ることだけである)。
  • まずデフレを止めよ。

という事のようだ。なーんだ、またお札を刷ればいいって話か。なら何故日銀はお札を刷らないんだい?と思うわけですが、その理由も書いてある。その理由は、デフレによって利益を得る“デフレの勝者”が金融政策を決定しているので自らに不利益となるインフレ策を取らないから、というものだ。本書ではインフレ策を取った場合の問題点についていくつか言及し、それら全てに反論を行った上でお札を刷るべきだと主張している。大変参考になる本だった。