鼎談「キャラクターをデザインするっ」の感想っ(その1)

土曜日の賀茂川さん鼎談の感想。
theta.hatenadiary.com
で書いたメモを引用しつつ自分の感想をメモ。

イラストレータになった切っ掛け
賀茂川
ゲーメストにいた。インド人を右に、の誤植で有名なのは知り合い。
漫画家アシスタントもやった。漫画を描きたかったが、準備のためpixivをはじめて今に至る。

賀茂川さんは漫画を描きたくて準備のため絵を描き始めたらイラストレーターになっていたという話。絵描きの人って、自分の勝手なイメージでは、小さいときから絵を描くのが好きで小学校中学校と絵を描いてて高校の学園祭で立て看板を描き大学で自分のHP持ってCG公開したりするイメージがあるんですが。
漫画を描く準備としてイラストを勉強するというのもすごい。鼎談でも言われてましたが異色ですね。ただ、回り道のようでも、雑誌の経験が今の賀茂川さんに繋がっているのは間違いないわけです。

C.C.レモン擬人化イラストコンテスト
pixivで行われたC.C.レモン擬人化イラストコンテストの話。
賀茂川
みんなむちゃくちゃうまい。昔、ファンアートは少なかった。オリジナルのすごい人。
オランジーナ、CCレモン、すごい人たくさん応募、勝てたらすごいと思った。
周りの方がうまいと思う。自分が選ばれた理由はわからない。

初期のpixivって「お絵かきたのしす」とか言って、オリジナルの絵を描くのを推奨してた雰囲気でした。その時代には(二次創作じゃなくて)単に絵を描くのが好きな人がバンバン絵を上げてた、その中で、イラストコンテストにチャレンジするというのが飄々としていながらもガッツを感じさせる逸話。

司会の應矢氏、ワンダちゃんお気に入り
2017年冬、ワンフェスのワンダちゃんのイラストを描いたときの話。
賀茂川
(イラストについては指定が来ることもあるが)ワンダちゃんについては、自由度が高い。フィギュアになることを意識しないでくれ(立体にするのは造形師の仕事だから)と言われ、そうですかと自分なりに描いた。

ワンフェスのワンダちゃんというと、水玉螢之丞が延々と描いてたやつですが、水玉さんがお亡くなりになった後にNEXT DOORという立体化プロジェクトが始まって、それの第三弾。フィギュアを買うと箱に覗き穴が開いてて、真横から見えるようになってるんですが、イラストの雰囲気そのままで立体化されてて僕も気に入ってます。賀茂川さんキャラの彩色済フィギュアで現実的な値段のものって、もう出ないんでしょうか。。。

色んなポージング
司会者:賀茂川さんの絵は色々なポージングがある。たとえば、立ってて、疲れたな。(という感じの姿勢の人の絵で)顎の下に踵(かかと)が来る。
賀茂川
単純に描いてて違和感あるところをつぶしてるとこうなる。
(図録7ページdラフ絵を見ながら)足一本外側だと違和感がある。
骨格筋肉が間違ってると動画にしたときに不自然。
こう言う絵、うまいアニメータさんの絵を参考にしてる。ジブリや、よしけんさん(吉田健一か)、本田雄さん。一流のアニメーター重心気をつけてる。

ポージング云々の下りは、実際にやってみるとそうなりますよ、今しなくて良いですけど、という感じでした。
1枚絵の場合にキャラクターの重心がずれてると違和感があるけど、賀茂川さんの絵はずれていないので、違和感が無いよ、という話。
ここで全然違う話を思い出しました。15年くらい前に二足直立歩行ロボットの自作が流行ったときがあって、大阪日本橋とかでパーツを売ってたりしたんですが、そのとき聞いた話で、ロボットが歩くとき、歩行途中で止まっても転ばない重心が安定している歩き方と、歩行途中に そのポーズのまま止まったら転んでしまうけど歩き続けている限り転ばない歩き方、の2種類があって、前者を静歩行(せいほこう)、後者を動歩行(どうほこう)と呼ぶのですが、人は普通に歩くときに「動歩行」していて、二足直立歩行ロボットに人のような歩き方をさせようとするときのハードルになってるという話でした。
人物画で描かれる人が立ち止まっている場合には、重心は安定した位置にあって、動いている場合はそうではない。賀茂川さんの絵は そういった点を踏まえて描いてあるので、立ち止まっている絵でも動いてる絵でも違和感が無い、そういう事なのかなと思いました。

ラフ画
賀茂川
人物画が描けなかった。アニメーターが自由自在に描いてるけど、どうしたらいいかと考えた。ネットで人体描き方を調べた。ネットが先生。

ネットで素早く大量の手本を参考にしつつ、教科書はしっかり押さえる、と言うことなんでしょうか。いずれにしろ凄い勉強量だと思います。

GK京都名倉氏
オランジーナの絵を見て、Twitterでいきなり(賀茂川さんに)DM。

京都市交通局と取引のあったGK京都が
京都市交通局のキャラクターを膨らませる展開をもちかけた
②複数の絵師を候補にしてコンペした
賀茂川さんが勝者となった
という重要な話。ここで賀茂川さんでない人が選ばれていたら、今の状況は無かったわけです。図録や賀茂川イロドラレモノタチ展で、モバイルファクトリーの人が京都に出張しているとき賀茂川さんの地下鉄に乗るっの絵を見て「駅メモ!」を造ったという話が紹介されていて、ここが現在に繋がる転換点。全然知りませんでしたが、名倉氏の功績は大きいんですね。

(キャラクター造形について名倉氏の側から提案することもある)みさちゃん、メガネ、アンダーリムだけどスクウェアにしてみたり、ヘッドホンつけてみるなど。

「神は細部に宿る」なんて言葉がありますが、この辺のツッコミが賀茂川さん作品の魅力向上に一役買っていそうです。
メモには書いてないですが、他社のXXの作品も自分が手助けしたらもっと良くなるだろうなと思った、といった感じの発言もありました。
賀茂川さんに仕事を依頼する際は、GK京都名倉さんに声を掛けた方が良さそうですね。

烏丸みゆ
(烏丸みゆのキャラ造りについて説明)
巫女さん、漫画と関係ないよね、ロングヘアの先にペン先が点いてるイメージを当初考えた。
しかし、後ろ髪の先は前から見えない。そこで頭の先になった。
髪の毛、最初はディティールを考える。まっすぐしてまきどめで止める。
烏丸みゆのコスプレイヤーさんが前に出て説明。

烏丸みゆはマンガミュージアムのキャラクターです。髪の毛の先っぽがペン先をモチーフにしてるのは、デザイン優先できめていて、実際にどういうふうにしたら実現できるかは二の次だったみたいです。あと、絵を描く際には絵描きは全部自分で描かなきゃ行けないわけで、細かい部分についてもどうあるべきか検討してるんですね。
会場に烏丸みゆのコスプレをしている人が居て、実際に紙を見せて貰いながら説明してもらいました。
髪型を実現させてみて、しかも違和感が無いというのも面白い。

服装など
賀茂川
烏丸みゆ、イヤリングをgペンにした。服とかはアウトドアブランドを参考に。
奇抜なデザインはパリコレとかから(着想を得る)。雑誌 装苑見て。
自分の中だけで考えることもあるが、天才のデザインも見る。
名倉;
賀茂川さんファッションよく知ってるので提案。

この辺、駅メモもパリコレクションのデザインを参考にしているようなお話もありました。たしかに、でんこの服装ってぶっ飛んだ物が多いですね。遠い未来からやってきたキャラクターなので、少しくらいおかしくてもおかしくないわけです。

司会;
烏丸みゆ、コスプレしてみてどうですか?
レイヤーさん:死ぬほど大変(笑)

見ている分には違和感なかったんですが(^_^;

烏丸みゆの展開について
司会;
烏丸みゆ、どう扱うか(悩んだ)。烏丸みゆ専用リックドム作ったりした。
こんなのは僕しか喜ばないと、レトルトカレーを作ったりした。

餅は餅屋というか……應矢さんひとりでやって無くて、良かったと思います。
(感想つづく)